再会とセッ⚪︎ス 〜それでも会いたくて〜

Facebookに一件のメッセージが届く。
 
「覚えてるかな?良かったら友達承認してね٩( ᐛ )و」
 
大学時代、短期のバイトをしていた時に知り合った女の子だった。彼女の名前は絢。絢は僕と違って社交的で、誰に対しても優しく笑顔で接していた。当時、僕は彼女に想いを寄せていた。
 
「誰だっけ?嘘。よく俺の事覚えてたね。」
 
僕は1日経ってメッセージを返した。彼女のレスポンスは早かった。LINEのIDを教えてくれた。その後はLINEでのやり取りを行った。電話もした。絢は言った
 
「今度京都に帰るの。会えないかな?」
 
 
 
 
 
 
 
某日 20:00 京都駅
 

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白いコートに長い髪、紙袋をたくさん持った女性がいた。遠くからでも一目でわかった、絢だ。「久しぶり。それ全部俺へのお土産?」彼女が微笑む。素直に可愛かった。たわいない会話をしながらお店に移動する。バーに着く。乾杯する。彼女を好きになりそうだった。いや、もう好きになっていた。僕は全てのルーティーンを駆使した。彼女を本気で口説いた。お酒が進む。彼女は言った「私ずっとジェルくんの事好きだったんだよ」この発言が意図するものは?僕は考えた。これはくそテストだ。「そのセリフ使うの俺で何人目?」「本当だもん」彼女が頬を膨らます。僕は余裕のある態度を崩さなかった。
 
23:45 店員がラストオーダーを知らせる。僕たちは店を出る。彼女の手を引く。彼女は僕の手を握り返す。僕は歩みを止め、彼女にキスをして言った「朝まで一緒にいてくれない?」彼女は潤んだ目で僕を見つめ、頷いた。
 
ホテルの前に着く。彼女は立ち止まった。
 
「今でもジェルくんの事好きなの。ジェルくんの彼女になれないかな?」
 
ストレートな告白だった。僕は考えていた。彼女と恋人同士になれば今後も楽しい時間が約束されるだろう。もうナンパなんてしなくなるかもしれない。この半年間、僕はナンパで何を見出せたか。何も無かった。僕はとことんナンパを突き詰めたかった。ここでのナンパ師としての答えは何か。彼女の告白を受け入れる事か。彼女とセッ⚪︎スをする事か。僕が選んだのは後者だった。
 
「絢の気持ちには答えられない。でも今日だけは一緒にいてくれないか。」
 
彼女を強く抱きしめた。絢は何も言わなかった。ホテルに入り、彼女と何度もセッ⚪︎スをした。言葉はほとんど交わさなかった。お互いに気付いていた。2人が会うのはこれが最後だと。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アラームが鳴る。僕はほとんど寝ていなかった。シャワーを浴び、煙草臭いスーツに着替える。絢と一緒に部屋を出る。駅まで彼女を送る。途中、何もなかったように話す絢。そんな絢の笑顔に、僕は罪悪感で胸がいっぱいだった。ナンパを重ねればそんな事すら気にならなくなるのか。駅に着く。「またね」僕は笑顔で見送った。彼女が選んだ言葉は「元気でね」だった。