即と損切り 〜一人でクラブに来る女性の心理〜

某日
 
梅田にて同期と親睦会。早い時間から始めた事もあり、20:30には解散。週末だったこともあり、このままストリートをしようと考えていた。そんな中、同期の一人が僕をクラブに誘った。迷わずokした。時間的にディスカウントが受けられる梅田 OWLへと急いだ。
 
 
 
21:00梅田 OWL

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人の入りはこの時間にしてはそこそこ。簡単に作戦会議を行う。彼とコンビを組むのは2回目だった。いざターゲットを探そうとしたその時、同期の電話が鳴る。彼は上司に会社に呼び戻されてしまった。使わなかったドリンクチケットを貰い、僕はOWLに一人取り残された。さて、どうする。フロアを一周。やはり2人組以上ばかりだ。ストリートを主流とする僕は、逆3はあまり得意ではなかった。ターゲットを1人の女性、もしくは片方だけナンパされているペアにした。とはいっても探すとなかなかいない。ダンスフロアを抜け、後方でレッドブルを飲む。10分程その場に待機していた。ふと隣を見ると1対1で和んでいる男女。いや、これは和んでいない。明らかに男が強引にナンパしていた。隣にいた僕はすかさず女に声を掛ける。「嫌なら嫌って言った方がいいよ」彼女の耳元で囁き、僕は何事もなかったように携帯を扱う素振りを見せる。引っかかるか。すると彼女は僕の腕を掴んで言った。「ねえ、助けて」引っかかった。僕は携帯をポケットに直し、彼女と和んだ。隣の男の存在に一切気付いていないかのように。男は諦めたようだ。バーカウンターの方へと消えていく。「本当にありがとう。怖かったの」彼女からようやく笑顔がみえた。「お姉さん一人で来たの?そりゃナンパされるよ」彼女は一人でクラブに来ていたようだ。レベルは5。即系の臭いがした。「ここじゃまた変なやつにナンパされるよ。俺と飲みに行こう」多少のグダはあったものの、連れ出しに成功した。
 
 
 
僕が梅田でよく使うバーに移動する。改めて乾杯。31歳、某飲食チェーン店の社員。見た目は大学生のような童顔だったため驚いた。恋愛遍歴を聞く。今まで12人くらいと付き合った。どれも長く続かない。ダメ男ばかり好きになる。僕は話の中で彼女に対して違和感を感じるようになった。お酒も入ってか、彼女の食いつきはどんどん増していった。「ジェルくんのおうち行っていい?」普通なら断る理由はなかった。でも僕はこの時確信した。彼女はメンヘラだ。カラオケを打診。家がいい、なんでダメなの、一緒にいたいよ。目を潤ませながら彼女は言っていた。「案外わがままなんだね。⚪︎⚪︎はもっと大人だと思ってたのに。とりあえず外出ようか」僕は強い口調で言った。雰囲気を壊す。うつむき、黙ってついてくる彼女。エレベーターに乗る。キスをする。手を引く。ホテルへ向かう。ホテルの前、彼女は立ち止まって言った。「おうちに行きたいの」「次会うときね」僕は彼女の頭を一度ポンと叩き、その場を後にした。
 
 
 
家路に着く。LINEを確認する。"いつ会える?"彼女からだった。僕は既読をつけずに、そっと彼女をブロックした。
 
 
 
◾︎総評
 
彼女はナンパをされにクラブに来ていた。その中で偶然僕に声を掛けられ、僕について来た。それ以上でもそれ以下でもない。ナンパは確率のゲームである。どんなに素晴らしいルーティーンをもってしても落とせない相手はいる。逆も然りだ。もうひとつ、彼女はおそらくメンヘラだった。彼女たちは他人への依存が非常に強い。彼女たちから即を得ることは難しい事ではない。その分リスクも大きい。今回僕はホテルで即をしようと試みた。でも彼女は気付いていたのかもしれない。行為を済ませるともう会えなくなる事に。お互いのための損切りだ。僕の判断は間違ってなかったと信じて。
 
 
 
一人でクラブに来る女性は何を求めているのか。刺激、非日常、お金、愛…。そこにつけ込む僕たちは、彼女たちを満たせているだろうか。